世界一周
世界一周といえば、僕たちの世代は、現役を退いて平均以上の財産や蓄えを獲得した人が、豪華客船で優雅に旅をするというイメージがあります。でも、現代は20代の若者たちがバックパックを背負って出かけて行くのですね。以前にも、何人かの若者から世界一周をしたとか、その途中だと聞いたことがありますが、先日はじめてバックパッカーたちの世界一周の方法やその様子など、概要を聞くことができました。8年前にインドで出会った女性が、世界一周の旅を達成して、寝袋持参で僕の店に1週間ほど滞在したのです。
どうやら5大陸、3大陸を回る6ヶ月や1年オープンの航空券を扱う旅行社があるようです。オープンとは帰国日を選択できる航空チケットのことです。そうしたチケットを使って大陸間を飛び、後は各大陸をその土地の交通手段で旅をするというものです。彼女の場合は約6ヶ月間で5大陸を巡り、航空チケットを含めて約150万円の経費だったそうです。20キロほどのバックパックが彼女の腰を痛めて予定より少し早い帰国を余儀なくされたようでしたが、それにしても女性一人でよくやります。
8年前、まだ学生だった彼女は友人と二人、初めてのインドで「強烈な出迎え」を受けて旅を続ける意欲を失いそうになったそうです。そんなとき、偶然僕と出会ったのです。「日本の方ですか?」と声をかけられたのがきっかけです。まあ、彼女たちにとって僕は「地獄で仏」だったかも知れません・・・。気を取り直した彼女たちはインドの旅を続けました。
その後は2度ばかり、僕の店に数日滞在することがありました。卒業した二人は、それぞれ別の旅行会社に就職しました。一人はその職場で伴侶を獲得、昨年めでたくゴールイン。しかし、一人は会社が倒産してしまいました。それでも旅に魅せられた彼女は、アルバイト生活をしながら、旅に出ることを続け、世界一周をやり遂げたのでした。
これまでに彼女が巡ってきた国は約50ヶ国。雄大な自然の景色に涙ぐみ、貴重品の盗難で落ち込み、アフリカではエイズ孤児や、あまりの貧しさに言葉を失い・・・。旅の記録を読ませてもらいましたが、記録には書きつくせない感慨が重く深く、彼女の内面に蓄積されたことはまちがいありません。記録の最後に「本当にありがとう」の言葉が3回も繰り返されていました。
僕は初めてのインドの記録を「インドでは、ありがとうはダンニャワードという。しかし、インドの人々はほとんどその言葉を言わない。言葉だけで終わりにするよりも、自分がしてもらってうれしかったことは、誰かにしてあげればいいのだ。だが僕は言う。ありがとうインド、ありがとうインドの人たち」と結びました。彼女の「ありがとう」は、友人や、ブログで励ましてくれた顔の見えない世界の仲間、そして両親への感謝でもあるのでしょう。もちろん、世界中で受けた感動や親切、深い思索に導いてくれたさまざまな刺激に対しても・・・。
昨年、日本人の海外出国者はピーク時の2000年から13.3%も減少したそうです。そうした中でも15歳から34歳までの青年層が出国者総数の全体の30%を占めています。さらにその30%のうち、女性が18%、男性は12%で、圧倒的に女性が多いのです。60歳以上の出国者は総数の20%を閉めています。日本から海外に出る人は老人と若者(青年)、とりわけ若い女性の比重が大きいと寺島実郎氏は分析します。(『世界』2010年5月号 岩波書店)
35歳から59歳までの壮年期の男性が海外出国者に占める比重は27%で、この層が前年比16%も極端に減少。壮年期の男性は自分の関心と目的意識で海外に出る機会は少ないという状況が垣間見える、とこれも寺島氏です。
世界を巡ってきたまだ20代の女性と60代の僕が、海外体験で語り合えることはうれしいかぎりです。とっくに先輩後輩は逆転しましたが・・・。
「人の一生は重き荷を背負って遠き道を行くがごとし」のように、人生は「旅」たとえられますが、「旅」を人生にすることはきわめて難しいと思います。しかし、「旅」を人生に生かすことはできます。旅に向かう意志、旅における判断、決断、挫折、リカバー、そして達成感。なによりも世界に広がった視野。
彼女には、旅の体験から新しい人生を切り開き、体験を人生という旅に生かして欲しいと思います。
そういえば一人でインド・ラジャスターンへ行ってきたyukaさん。ちょっと前に両親と旅の報告に来てくれました。なんとお母さんは、若い頃に僕の店に来たことがあったそうです。心配しながら一人旅に送り出してくれた両親の話にyukaさんは涙ぐんでいました。こちらも娘を持つ身です。ちょっとウルッとしました。あっ、インドのお土産もいただいたりしました。また次の旅の計画が浮上してきたのでしょうか。yukaさん姉妹より少し年上の彼女は、そろそろ結婚が視野に入ってきたそうですよ。
どうやら5大陸、3大陸を回る6ヶ月や1年オープンの航空券を扱う旅行社があるようです。オープンとは帰国日を選択できる航空チケットのことです。そうしたチケットを使って大陸間を飛び、後は各大陸をその土地の交通手段で旅をするというものです。彼女の場合は約6ヶ月間で5大陸を巡り、航空チケットを含めて約150万円の経費だったそうです。20キロほどのバックパックが彼女の腰を痛めて予定より少し早い帰国を余儀なくされたようでしたが、それにしても女性一人でよくやります。
8年前、まだ学生だった彼女は友人と二人、初めてのインドで「強烈な出迎え」を受けて旅を続ける意欲を失いそうになったそうです。そんなとき、偶然僕と出会ったのです。「日本の方ですか?」と声をかけられたのがきっかけです。まあ、彼女たちにとって僕は「地獄で仏」だったかも知れません・・・。気を取り直した彼女たちはインドの旅を続けました。
その後は2度ばかり、僕の店に数日滞在することがありました。卒業した二人は、それぞれ別の旅行会社に就職しました。一人はその職場で伴侶を獲得、昨年めでたくゴールイン。しかし、一人は会社が倒産してしまいました。それでも旅に魅せられた彼女は、アルバイト生活をしながら、旅に出ることを続け、世界一周をやり遂げたのでした。
これまでに彼女が巡ってきた国は約50ヶ国。雄大な自然の景色に涙ぐみ、貴重品の盗難で落ち込み、アフリカではエイズ孤児や、あまりの貧しさに言葉を失い・・・。旅の記録を読ませてもらいましたが、記録には書きつくせない感慨が重く深く、彼女の内面に蓄積されたことはまちがいありません。記録の最後に「本当にありがとう」の言葉が3回も繰り返されていました。
僕は初めてのインドの記録を「インドでは、ありがとうはダンニャワードという。しかし、インドの人々はほとんどその言葉を言わない。言葉だけで終わりにするよりも、自分がしてもらってうれしかったことは、誰かにしてあげればいいのだ。だが僕は言う。ありがとうインド、ありがとうインドの人たち」と結びました。彼女の「ありがとう」は、友人や、ブログで励ましてくれた顔の見えない世界の仲間、そして両親への感謝でもあるのでしょう。もちろん、世界中で受けた感動や親切、深い思索に導いてくれたさまざまな刺激に対しても・・・。
昨年、日本人の海外出国者はピーク時の2000年から13.3%も減少したそうです。そうした中でも15歳から34歳までの青年層が出国者総数の全体の30%を占めています。さらにその30%のうち、女性が18%、男性は12%で、圧倒的に女性が多いのです。60歳以上の出国者は総数の20%を閉めています。日本から海外に出る人は老人と若者(青年)、とりわけ若い女性の比重が大きいと寺島実郎氏は分析します。(『世界』2010年5月号 岩波書店)
35歳から59歳までの壮年期の男性が海外出国者に占める比重は27%で、この層が前年比16%も極端に減少。壮年期の男性は自分の関心と目的意識で海外に出る機会は少ないという状況が垣間見える、とこれも寺島氏です。
世界を巡ってきたまだ20代の女性と60代の僕が、海外体験で語り合えることはうれしいかぎりです。とっくに先輩後輩は逆転しましたが・・・。
「人の一生は重き荷を背負って遠き道を行くがごとし」のように、人生は「旅」たとえられますが、「旅」を人生にすることはきわめて難しいと思います。しかし、「旅」を人生に生かすことはできます。旅に向かう意志、旅における判断、決断、挫折、リカバー、そして達成感。なによりも世界に広がった視野。
彼女には、旅の体験から新しい人生を切り開き、体験を人生という旅に生かして欲しいと思います。
そういえば一人でインド・ラジャスターンへ行ってきたyukaさん。ちょっと前に両親と旅の報告に来てくれました。なんとお母さんは、若い頃に僕の店に来たことがあったそうです。心配しながら一人旅に送り出してくれた両親の話にyukaさんは涙ぐんでいました。こちらも娘を持つ身です。ちょっとウルッとしました。あっ、インドのお土産もいただいたりしました。また次の旅の計画が浮上してきたのでしょうか。yukaさん姉妹より少し年上の彼女は、そろそろ結婚が視野に入ってきたそうですよ。
by yoyotei | 2010-04-14 00:03