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居酒屋味酒覧から

 このブログを始めて、およそ10ヶ月になろうとしている。ブログのタイトル「夭夭亭」の店名の由来は以前に紹介したことがあるが、店そのものの宣伝らしきことはしないできた。期待を抱いて来店され、失望を与えてしまうことを極度におそれる私自身の性格にもよるし、店は私が創造した作品のようなものでもあり、自画自賛になることを避けてきたことにもよる。だが、今月は「プレミアムパーテイー」もあることだし、おもいきって「夭夭亭」なる店を紹介しようと決断した。それでも、やはり自己紹介はおもはゆい。ここは他人の目、第三者の客観的印象にゆだねるのが、私自身も気が楽だ。そこで取り上げるのは『太田和彦の居酒屋味酒覧(みしゅらん)精選173』(新潮社 2008年)だ。

「静かな町、村上にもう一軒すてきな店がある。通りのはずれに意表をついたように建つスペイン風の館「夭夭亭」は村上に30年以上も続く欧風居酒屋だ。中は広く、天井は高い吹き抜けで二階席もあり、ミニコンサートもできるそうだ。レストラン顔負けの本格オープンキッチンで作る「キーマカレー」や「バトーラ」という揚げたナンはやめられないうまさ。テキーラはレモンをかじる本格派。ブラジル酒ピンガやワイン、地酒もある。インドを中心に世界を放浪しているという自由人マスターは、笑い顔のいい明朗な好漢で、カウンターに坐った私は二分で友達になった。欧風に南米やインドのテイストがまじった雰囲気は、気持ちをおおらかなコスモポリタンにさせ、バカ話がはずむ。夜おそくまでやっているので、ぜひお訪ねを。ただしマスターの放浪休暇あり」

 著者の太田和彦氏は日本各地の酒場訪ね歩きをライフワークにし、多くの著作がある。上記の著書はその集大成とある。著書に取り上げられる以前にはCSテレビ・旅チャンネル「全国居酒屋紀行」で放映されたが私は見ていない。それらはDVD『太田和彦のニッポン居酒屋紀行』(全5巻)になっているそうだが、これも私は見ていない。

 実は、先夜もこの本を持参のお客が来られた。東京から秋田方面への旅の途中で、当地の岩ガキを堪能された後での来店だった。深夜遅くまで飲みながら語らううちに、日本海に浮かぶ粟島へ渡ることにされたようだった。粟島は作家椎名誠氏が何度か訪れたこともある人口400人ほどの島で、今がベストシーズンだ。
 昨年は俳優の角野卓造さんが、やはりこの本で知ったと、テレビ番組の収録の合間に一人で来られた。角野さんは太田和彦さんとは親しい友人だという。東京生まれの大阪育ちで、東西文化の違いなどで話がはずんだ。同世代ということだけでなく、彼の人柄や話題の豊富さが酒を飲みながらの語らいを楽しく充実させる。今年も6月末に、来店されて往年のフォークソングなどを歌いあった。
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 角野さんは文学座の舞台俳優で、井上ひさしの『虐殺組曲』の舞台が一段落した合間をぬっての来店だった。この夜の同行は地酒「大洋盛」の社長と醸造部長。
 フォークソングといえば、1昨日の夜には4月にこのブログ「ギターを抱いた渡り鳥」で紹介した歌手楠木しんいちさんがフラッとやってきた。金沢市でのライブが終わり、足が私の店に向いてしまったということだった。近頃は20歳になる娘さんも同じステージに立つことがあるそうだ。午前3時まで飲んで語ってわが家にお泊り。翌日も夕方までビールを飲みながら、海に行ったりして語り合った。知的で繊細な語り口は私とは違うが、ヒゲといい頭の被り物といい風貌はよく似ている。
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 昨夜は東京都羽村市から二人の若者が・・・。そのうちの一人、進(しん)さんはカクテル屋『無々(ないない)』のマスター。お連れは店の常連さんで新潟県直江津の出身。驚いたことにマスター進さんは、私と同じ島根県の出身者、それも私の生誕地に近い大田市だという。嬉しい出会いに時間も忘れて午前2時。進さん、ハムラ君、「フィル・ミレンゲ(また会いましょう)!」。この次は、あのトランプ・マジックの種明かしをするね。

 今日も朝から暑い・・・。
 昨夜、瀬波温泉のホテルへ帰る羽村市からの二人にタクシーで自宅まで送ってもらったので、午前7時ころから店まで散歩がてら車を取りに行った。この時期、土の中から這い出したミミズが灼けたアスファルトの上で死んでいるのをやたらと目にする。今朝も店への道すがら、10匹前後の干からびかけた死骸を見た。前から気になっていたのだが、いったいどういう現象なのだろう。土が熱くなって逃げ出したものの、逃げ出した先がアスファルトの灼熱地獄、引き返す間もなく無念の悶死、ということなのだろうか。NHKラジオの「夏休み子供電話科学相談」に年齢を偽って訊いてみようかと思う。

 あっ、店の宣伝が今回のテーマだった。「2010プレミアムパーテイー」。開催を3日間に延長しました。12日(木)、13日(金)、14日(土)です。時あたかも盂蘭盆。13日の夜は店先で「迎え火」でも焚いてみようか。あちらからの客も大歓迎です。

夭夭亭が紹介されているサイト
Yahoo!グルメ~インドに超はまっている、団塊世代の超変わっているマスター経営の欧風居酒屋。~
トーキョー喫茶 夭夭亭-村上(新潟)

by yoyotei | 2010-08-06 11:25  

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