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セロ弾きのシンさんと仲間たち

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 なんとも贅沢で豊潤な一夜だった。
 ギターをとって何気なく歌い始めると、あぶなげな演奏を支えるようにチェロが流れた。打ち合わせも何もない。鳥肌がたった。客ではない。私が、だ。居合わせた客から感動の拍手が沸いた。チェロは突如としてこの夜の主役に躍り出た。長い夜の始まりだった。
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 町屋一帯で開催中の「屏風まつり」に加えて、8日、9日は約7000本の竹灯籠が幻想的な夜を演出する「宵の竹灯籠まつり」がおこなわれた。宵闇に包まれた黒板塀の小路は竹灯籠にほのかに照れらされて、通りは静かでゆったりとした雑踏となる。寺の本堂など数箇所の会場では、ジャンルを問わない地元のミュージシャンの演奏が流れる。
 北新潟フィルハーモニーに所属するヴァイオリニスト1名とチェリスト1名は、その風情を楽しんだ後、常連のHirayamaさん(上)に連れられて来たのだった。
 もちろんHirayamaさんも北新潟フィルでヴァイオリンを担当している。私の店でも無理をいって、演歌からポピュラーミュージックまで演奏を強いられ、まるで「人間ミュージックボックス」のような扱いをされている。
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 この夜は昨年同様、小学校時代の先生を囲んでの「同窓会的飲酒会」ご一行や、「一周忌法要終了的一寸休息的飲酒」のSugawara家ご一行など、通常は定休日の日曜日なのに客であふれた。
「同窓会的飲酒会」の存続は、やはり先生が生徒たちに与えた影響力にあるのだろう。教師冥利だ。もっとも先生をダシにしてのストレス解消という側面もある。それでも先生は喜んでくれる。先生っていいなあ、と思う。
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 Sugawaraさん一家は左からYukoさん、Kazuhiroさん(カリスマ整備士)、幸恵さん(Yukie?Sachie?)、Hidekiさん(イケメンフットサル)。(カリスマとかイケメンとかは本人たちの自主申告です)
 Yukoさんは最近まで、学区内の小学校の特別支援学級で先生をされていた。二人の息子、幸恵さんはHidekiさんのお嫁さんという、実に仲良しなファミリーだ。Kazuoさんという一家の大黒柱は自宅ですでにご就寝だったようだが、こんなときオヤジはちょっと影が薄い。
 それにしてもSugawaraさんとも、Yukoさんのお姉さん夫婦Sasakiさんとも長い常連さんだ。私のつくるピザが子どもだったこの息子さんたちへのお土産だった、とYukoさんにいわれて隔世の感を強くした。あの頃は今と違って景気のいい時代だった。 
 幸恵さんは新潟市の、あの「猫山宮尾病院」に勤務だ。「あの」というのにはわけがある。「猫」が連想させるのだが、多くの人が動物病院だと思っているのだ。地名からの由来らしく、れっきとした人間の病院だ。バス停にも「猫山宮尾病院前」があって有名な病院なのだ。
 幸恵さんは「メディカスタッフ・プロモーション」という会社のテレビCMにも出ているということだ。気をつけて見よう。見たらVサイン送るからね。「イエイッ!って・・・」
 Yukoさんはチェロの演奏に感動しきりだった。よかったね。
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 右がセロ弾きのシンイチロウさん、中央がヴァイオリンと腹太鼓担当(本人がそう言ったのだ)のYumikoさん。彼女のコメントメモには「弾かせていただきました、枯~れ、す~す~き。楽しかったです」とあった。こんな将来あるお嬢さん(?)に聞いたこともなく、先行き真っ暗な「船頭小唄」を弾かせたのであった。
 左のHirayamaさんに言わせると、Shinichiroさんのチェロの腕前は只者でないらしい。評価の基準はちがうが、私も只者ではないと思う。私も含めて大酒を飲んで勝手なリクエストを繰り返す客たちに応え続けたのは並みの達人ではない。それだって只者ではないのだ。
 楽団の指揮者から下手呼ばわりされていた「セロ弾きのゴーシュ」(宮沢賢治)は、動物たちの要求に応えているうちに腕前を上げていた。こちらのセロ弾きのシンさん、酒飲みの要求に応えているうちに腕を下げなければいいが・・・。 
 二人で「流し」の旅に出たいと思ったが、なんといってもチェロは大きい。旅にはけっこう荷物になる。
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 楽器は演奏者によって生命が吹き込まれることをあらためて教えられた。チェロって弾かなければけっこう邪魔な大きな箱だ。インテリアにはなるが・・・。これが優れた演奏者にかかると、胴体以上のすごい存在を示す。無駄に大きくはないのだ。

 この夜、Jojiさん、Murataさんもチェロの演奏に大満足であった。午前3時をまわって、みんなが帰路についた。私は店の2階で寝袋の中に轟沈した。

 タバコをやめて1年が過ぎた。ズボンがきつくなったので、先日、買いに行った。ウエストが3センチ大きくなっていた。サイズが変わったのはほとんど半世紀ぶりだ。

 Mikaのお母さんが亡くなった。短かったが精一杯の人生だったようだ。Mika元気を出せ!お母さんは「永遠の人」になったんだよ。
  
  

by yoyotei | 2011-10-12 05:59  

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