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風は秋色

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「今日、ボクは誕生日でね」
「エッ?ホントですか」
「そう、8月29日」
「ボ、ボクもです。8月29日」
 そして彼は免許証を取り出した。 
 感動!のツーショットはかくして生まれた。前任者に代わって新しくこの地域の担当になったある会社の営業社員だ。初来店の初対面でのこの偶然。どのくらいの確立ということになるのだろうか。
 この日、私はいうところの高齢者の仲間入りとなった。
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 新潟県では9月・2月を「高齢者見守り強化月間」と定めて、高齢者の見守りや支援に協力を要請している。県内の単身高齢者は67、100世帯、総世帯の8%だという。しかも、この10年間で6割以上も増加しているというから驚く。もちろん私自身も予備軍であることはいうまでもない。
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 そんなある日、単身高齢者をおもな対象として、何回目かになる「ハゼを釣って食べる会」を仲間たちと催した。猛暑の日中だが、東からは川面を渡る風、西からは日本海の潮騒。揚げたてのハゼや自宅菜園の野菜の天麩羅をほおばり、冷えたビールをあおる。冗談話で盛り上がり、笑いがはじける。私のギターでナツメロも歌った。こんな自然環境の中に住む幸せを体感する。
 私を含む同年齢の4、5名でおこなう準備や後片付けは結構つらい。だが、こうした集団にあっては「若手」なのである。終了後、その「若手」はわが家に集まって御苦労会だ。
 今年、団塊の第一世代がこぞって高齢者となった。
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「ハゼを釣って食べる会」の1週間も前からハゼを釣っておく。当日になって釣るのではみんなの口に入らないからだ。三面川(みおもてがわ)の河口が釣り場になる。川風に吹かれながら椅子に座り、足を水に浸しながら竿を出すのが私の流儀である。
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 選手のレースナンバーと氏名を読み上げる私の目に入ってきたのは、片方の足を引きずりながらゴールに向かって走る選手の姿だった。引きずる足の膝は赤く血の滲んだ布で覆われていた。そして、その膝から下はなんと義足だった。過酷といわれるトライアスロン、それも健常者たちに混じっての彼の懸命な姿。一瞬にして彼の「がんばり」の背後にあったであろう苦悩や葛藤、悔しさに思いが至った。マイクを通す声が嗚咽にならないように、私は・・・。
 何年か前の「村上国際トライアスロン大会」でのことだ。
 ロンドンでは、あるテレビCMがパラリンピックの選手たちを「スーパーヒューマンズ(超人)」と称しているという。障害を克服するだけでもメダルもの。そうした彼らのメダルラッシュが続いている。
 今月16日(日)には「村上・笹川流れ国際トライアスロン大会」が開催される。参加選手1000人を超える空前の規模になる。今年もMC担当でマイクを握る。
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 わが家の実生の胡桃が大量の実をつけた。
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 こちらは平成16年4月に旅立った愛犬チビルの墓標として植えた柿だ。わずかに7、8個だが今年はじめて収穫できそうだ。
 風はすでにして秋色。私の人生も?だがこちらには収穫できるような果実は、今のところ何もない。

by yoyotei | 2012-09-07 11:28  

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