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月をごらんになるのがお好きなのですか?

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目覚めたら午前3時を10分ほど過ぎていた。枕元の『1Q84』<BOOK3>の終盤部分を読み始める。
 ノーベル文学賞が決定する夜、ブックオフで『1Q84』を購入した。村上春樹の作品をあまり読んでいなかったこともあって、せめてこの際と思ってのことだ。ミステリアスなストーリー展開に引きずられて数日かかったが読み終えた。6時10分だった。ナメロウ連れて外に出た。明け方の空を見上げたが一面雲に覆われて「ひとつの月」も見えなかった。
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 高校で教鞭をとるKazamaさんが娘のAyaさん同伴で来店した。Ayaさんの酒場デビューだという。読書家の彼に『1Q84』は読んだかと聞いた。娘にすすめられたがまだということだった。そんなことより娘との酒場デートがうれしくてたまらないKazamaさん、眼鏡の奥で終始、目が笑っていた。
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 こちらは母と娘だ。昨年の村上大祭で交通事故死した吉川さんの奥さんと娘。亡くなった吉川さんも笑うと目元がKazamaさんによく似ていた。ふたりの笑顔に、もう何事にも動じないといった強靭さを私は見た。
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 韓国からの旅人崔聖基さん。崔さんは『居酒屋味酒覧』(太田和彦著・新潮社)掲載の「夭夭亭」と「千渡里」のコピーを持っていた。会話は英語とわずかな日本語。「マスター、竹島は日本の領土だって言ってやって」と私をそそのかしたのは誰だ?この夜、しんちゃんがいなくてよかった。
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 韓国のテレビで10年もスポーツキャスターをしていたという崔さん。詳細な旅のスケジュールには「天地人・上杉家と直江兼続」とあった。漢字はきわめて堪能な人だった。3年後にまた来ると言って、常連組に見送られて駅前のホテルへ帰って行った。
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 この夜は千葉で病気治療中のマイクが顔を見せた。岩船大祭に招かれたのだ。治療の影響で「マスターさんと同じ頭になってきます」と言っていたが髪はじゅうぶんにあった。まだまだ私にはかなわない。2日前に少しビールを飲んで体調を崩したようでこの日は控えた。完治して大いに飲みたいものだ。
 Mayaはこの翌日「映像から・・・」の会に父親と来てくれた。 
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 ちょっと久しぶりのItagakiさんと若い農業人たちだ。
「都市は人間を自由にする」というのが村上春樹文学の底流にある。地方にはさまざまなしがらみがあり、都市での自由はそこからの解放だ。逃亡だという人もいるが・・・。
 しかし、しがらみの消失は自己確認の消失でもある。しがらみのない都市では自分が何者かわからなくなり、周囲も自分のことを認知してくれない。だれかとのつながりを希求するところに村上的恋愛が生まれる。村上文学の世界的なメッセージ性はそうしたところにあると、村上文学に詳しいという専門家が、昨日のラジオで語っていた。ノーベル文学賞の受賞は逃したが、私自身はそれでよかったと思った。
 都市に埋没して自己を喪失する人たち。一方で親子、親戚、知人、同窓生、同級生など多様なしがらみのなかで、自己研鑽と自己確立にはげむ人たち。若い農業者の話を聞いて村上文学のなかの人間関係を思った。
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 勤めていた銀行を辞めて農業の世界に飛び込んだTokitaさん。農業大学校に通ったりしての本格的農業女子だ。酒の飲みっぷりもいい。スカッと思い切りのいい生き方を貫く人だろう。
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 この夜は「宵の竹灯籠祭り」。Kayoさんがウサギのグレイを連れてきた。ウサギも人を見るようで私に抱かれては落ち着かないようだった。白馬にまたがった王子様の到来を待ち続けているKayoさん。しばらくはグレイがパートナーか。
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「映像から暮らしと環境を考える」の第1回は映画『無常素描』を鑑賞した。参加者は約80人。この日のナビゲーター普済寺の角一住職の「無常」「少欲と知足という生き方」についての話は味わい深かった。世話人というか開催のスタッフたちだ。
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 ゲスト・スピーカーの伊藤夕佳さん。震災の直後に福島県から娘3人と共に避難。新潟市の仮設住宅に移り住む。1年前に喫茶店の開業を決意して料理学校に通い、現在古民家を改装して「かふぇかじ川」を開業している。
 福島ということで子どもから車に石を投げつけられたり、旅館から宿泊を断られたなどの涙まじりの体験談。子育ての中で放射能への恐怖から非難した人たち。故郷から離れたくなくて留まった人たち。両者の間に確執が生まれているという。共に暮らしてきた人々が分断されようとしている。
 震災直後、町の明かりがすべて消えて星だけがとてもきれいだったという話が妙に印象的だった。私のなかで角一住職の話と連動したのかもしれない。
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 テレビの運勢で私の生まれ月は金運が上昇と出た。その直後に忘れていた財布を発見。インドのカネが2百数10ルピー入っていた。700円ほどか。インドでは安宿なら1泊できる。
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 応募したことも忘れていた日清チキンラーメンのプレゼント。なんと5000円分の商品券が当たった。応募するのも珍しいが当たるのはもっと珍しい。これこそ金運上昇だ。いいぞいいぞ!占いも当たる事があるんだ!。

 ところで昨日、妻が大量のキノコを採ってきた。食べられるものか毒なのかよくわからない。うまそうだが食べないでいる。当たりそうな気がするのだ。

『1Q84』には月が二つある世界が出現する。
20年ぶりに再会した青豆と天吾。ホテルのフロントに月を眺められる部屋を頼む。

「月をごらんになるのがお好きなのですか?」
「それは大事なことなの」と青豆は微笑んで言った。「とても」
 
 私には特に月を眺める趣味はない。だが「ツキ」はいい。金運上昇が続いて欲しい。

by yoyotei | 2012-10-25 11:48  

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