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村上は鮭よく酒よく情(なさ)けよく行き交う人のうつくしき町

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 東京の妻の元で病気の治療にあたっていたマイクが、村上に、職場に、そして夭夭亭に帰ってきた。頭髪や眉毛がいくぶん薄くなり、少し疲れやすくなったように思われるが、以前のようにビールも飲む。
 マイクが言う。「私は村上が好き。村上の人が好き。リタイアしても村上に住みたい。でも妻は東京がいいと言う。どうして?」
 この話題になるとマイクは毎回「どうして?」を連発する。 
 この夜は、鮭の腹子(イクラ)に混じった血合(ちあい)を取り除く手伝いをしてくれた。銀杏の殻むきを手伝ってくれたこともある。細かい作業を面倒がらず、むしろ夢中になって取り組むマイクの姿は、かつて航空機の整備をしていた彼の経歴につながるのかも知れない。
 ちなみにこの腹子は、当地三面川の伝統漁法ウライ漁で捕らえられた鮭の卵の、人工孵化に供された残りを、私が個人的に集めたものだ。通常の「醤油腹子」に血合が混じることはない。
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 Hideさんの前にあるのはマイク直伝の「テキーラ・ボンバー」。ビアジョッキの上に箸をわたし、その上にテキーラを注いだショットグラスをのせる。準備が整ったらその脇を「ドン!」と叩く。その衝撃でショットグラスはビールの中に落下する。
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 泡立つテキーラ入りビールをいっきに飲み干す。
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 Mooryも飲み干す。Murataも飲み干し、Mikaも飲んだ。そしてみんな酔っ払った。マイクは「ドン!」と衝撃を与えて、ショットグラスを落下させただけだった。
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 パン生地を薄く延ばしてオーブンで焼くとプックリと膨らむ。卵の殻を割るように穴を開けてそこからカレーを入れる。<卵の殻>を手で割りとって中のカレーをつけて食べる。食事というよりもビールのお供だ。この日のカレーはヨーグルトに漬け込んだ鶏の手羽元。優雅な手つきはMikaと思われる。
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 男子の若者5人組。東京出身とか、どこそこ出身とか聞いたが詳しくは・・・。左からShinji、Atushi、Naoya、Takashi、Shinsakuの個性あふれる若者たちだ。しかもそろってイケメンときている。ん?変なのが紛れ込んでる?気のせいでしょう。
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 イケメンとくればやはり美女にもご登場願おう。彼女は周囲から「オスカル」と呼ばれている。身長1メートル68センチ。小顔ですらっとした容姿。まさに宝塚の男役そのものだ。飲みっぷりもいい。
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 そのオスカルも子育てママさんだ。この夜はママさんグループのMurata妹と週末常連組の兄が遭遇した。兄は新しい仕事のため来週から研修。横浜で2週間のホテル暮らしだ。
 ママさんたちの話題はやはり子ども中心。男の子のオチンチン話など、みんな真剣に語り合っていた。夜が更けて・・・。
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 この3人は結婚生活にまつわる話題が中心だろうか。Hattoriさん、Hideぼう、Odaさん。互いに忌憚のない指摘が飛び交う友人たちだ。この夜は、あの「しんちゃん」も加わって熱い話になっていったようだ。Hattoriさんはその「しんちゃん」を「しんいちろう!」と呼び捨てにする、私が知る限り唯一の人である。
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 11月から始まった鮭の塩引き作り。12月に入ってからは塩出しをして水洗い、吊るして寒風に干す作業に移行した。今期、私は千尾ほどの鮭を処理した。
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 先日来店された池袋の「男の季節料理・三太郎」のオーナー林さんから塩引き鮭の注文をもらった。今、「三太郎」へ行けば越後村上の塩引き鮭がぶら下がっているはずだ。
「切腹」を嫌った城下町村上人のこだわりで腹は二段に割き、「首吊り」の連想を忌避して尻尾から吊るす。塩の擦り込み(塩引き)、塩出し・水洗い。すべての工程を私がこなした。ちょっと自慢である。「飯寿司」、塩出しはしなくていいそうですよ三太郎さん。 
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「映像から暮らしと環境を考える/連続上映&トーク」第3回は「内部被ばくを生き抜く」(鎌仲ひとみ監督作品)を取り上げた。
 事前に見た映画の印象は「怖くなった」ということだった。内部被ばくによってじわじわと健康が蝕まれていく恐怖だ。だが、同じ世話人スタッフのドイツ人ホップ・アンニャ(新潟大学准教授)は私とは反対の印象を語った。放射能がどのような影響をもたらすかがわかって、むしろ安心したのだという。そうかも知れない。なにがどのように怖いのかわからないままではもっと怖い。だが、放射能の影響についてはまだわからないことも多いようだ。それでも少しでもわかってくれば対処の仕方があるということだ。

 今回は私がナビゲーターを務めた。
 資料に掲載された「私のひと言」を、ここに再掲しておく。
「電力需要の増加に水力・火力の発電では対応しきれないとして、日本は原発の導入に踏み切った。しかも二酸化炭素を放出しない原発は環境にやさしいと。だが、事故が起これば甚大な放射能被害をもたらす。だから事故を起こさない発電所をつくればいい。日本の発電所は絶対に事故が起こらない。安全神話の成立だった。「核と人類は共存できない」との警鐘をせせら笑うように・・・。
 そして事故は起きた。
 放射能に汚染された地域は立ち入りが禁止されて、人の姿のない村や町を身近にいた動物たちが徘徊する。人々は生活の根拠地を失って浮遊し避難し続けている。
 内部被ばくによる健康不安はそこが知れない。この不安と恐怖を、この先いつまで持ち続けなければならないのか。
 今、選挙戦の真っ最中だ。私たちの未来は政治に大きく関わっている。かつて原発は「国策」だった。真に自立した科学者の知見や原発被害者の声。未来を見据える政治の判断と決断。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ。「爆(ばく)からも「曝(ばく)からも断固として決別する覚悟が試される」
 映画「内部被ばくを生き抜く」に出演していた鎌田實(医師・作家)は言う。
「政治をあきらめるわけにはいかない。被災地の人たちに寄り添い、復興を進めてくれる候補者は誰か。しっかり目を凝らして(中略)選びたいものだ」(毎日新聞/12月1日)

 今年も後3週間。2日前には早朝のドカ雪。北越後に本格的な冬が来た。
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 骨董市で入手した火鉢(手あぶり)。藍の染付けの魅力にひきつけられている。

by yoyotei | 2012-12-12 08:08  

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