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思いきや月の流転のかげぞかしわがこし方に何をなげかん

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 Mayaさんは手ぶらではやって来ない。この夜は見事なマンゴーを持参した。九州から送られてきたという高価な国産物と、食べ比べてみたいと買った輸入物との2種類。色は手前の国産物が美しいが、味はどちらもうまいとしか言いようがなかった。
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 グループの名を「皆喜多会」という。<みな来た会(かい?)>との意味がある。(左から)タケちゃんと親しまれている地元出身の新潟県議会議員片野猛さん、伊予部優(まさる)さんは<北アカリ><インカのめざめ>といったジャガイモ作りに夢中だ。瀬下江二さんはこの一瞬だけカメラ目線なったがすぐにガクンと眠り込んだ。右端はユキオちゃんこと、舩山由喜男さん。葬祭の「ベルホール会津屋」や「町カフェ」などを展開している。この年代になるとそれぞれがしっかり自分の立ち位置を持って揺るがない。
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 左からHitoshi、Takahiro、Sayur、Masaさん。市内の村上南小学校の先生たちだ。南小学校は自宅の近所にあり、娘たちの母校でもある。
 ところで、学校の先生にも、家庭や私生活上の苦悩があるということを意識したのはいつごろからだろう。私の通っていた小学校の先生が、病気を苦にして海に身を投げるということがあった。遺体が引き上げられたとき、遊び仲間とその現場に行った。遺体にかけられた筵(むしろ)からはみ出た白い半そでシャツの腕を鮮明に覚えている。私はその先生が、人気のない教室で、疲れた体をあずけるようにオルガンに突っ伏す姿を目撃したことがあった。
 4人の先生たちと交わした会話をたどっていたら、ふいに60年もの過去に思いがとんだ。
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 まだ詳しくは聞いていないがkobayashi夫妻は合気道の達人らしい。その修養のためなのかどうか、夫のほうはカウンターで酒を飲んでいても、尻の片方を軽く椅子に乗せるだけで、ほとんど立ったままだ。
 奥さんに「いきなり後ろから抱きついたりしたら・・・」と聞くと、すかさず「やめたほうがいいかもね」と返答があった。気がついたら地べたにたたきつけられていた、ということになりかねない。
 この夜は、サッカー青年(?)Murata兄と<オフサイド>の話になった。<オフサイド>は、私もまったくわからない。Murata兄が詳しく、噛んで含めるように教えてくれたがやはりわからない。選手たちの動きの、流れの中での一瞬だからなのかなあとも思うが、やはりわからない。
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 月に一度のペースで、ママさんコーラス指導のために帰郷する大滝さんは、東京で多様な音楽活動を展開している。音楽仲間の小川正生さん(右)は昨年11月のコンサート以来。何気なく始まった「レット・イット・ビー」の弾き語り。二人のハーモニーのきれいなこと。「ウ~ム」なのだ。
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 そして大滝さんのTシャツ。すごい代物だ。もしかしてビンテージのレア物か?
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 ホテルの釜爺勤務も早いもので1年と2ヶ月を過ぎた。この夜は勤務先の『ニューハートピア新潟・瀬波』のスタッフ10数名で親睦会。
 外国航路で元賄(まかな)いコックだった人は、釜爺と釣り船の船長という私と同様の二足の草鞋(わらじ)を履いている。この日は自分で釣った魚を調理して刺身盛りを持ってきてくれた。夜警とナイト・フロント担当は元消防署員、元銀行員、元クリーニング店勤務といった過去(?)を持つ人たち。夭夭亭と同じ町内なのに、初めて店に入ったという人。長く病の床についたままの姉を介護し続けている人。20数年前に病に倒れて働けなくなった夫に代わって、一家の大黒柱になっている人など・・・。
 職場で交わす言葉は挨拶だけだが、こうして集まり語り合うと、<人間>が立体的に見えてくる。
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 7月の6、7、8日は伝統の村上大祭だった。(画像は昨年の村上大祭におけるはっぴ姿のカール)
『(前略)その「シャギリ」について調べてみると「民俗芸能や祭礼などの練物(ねりもの)の行列の途中で、笛、太鼓、鉦をまじえて奏す囃子」などとあり、狂言、歌舞伎の囃子の一つにも「シャギリ」がある。「長崎おくんち」の踊り屋台の囃子を、土地の人は「シャギリ」と、言い、青森県五戸では、祭礼の行列に出る、笛、三味線、太鼓などを「シャギリ」と言う。日本国語大辞典には「シャギリ」の項の最後に「新潟県村上方言、祭礼の時に出る山車(だし)」と記されていた』(『村上の歳時記』矢部キヨ著/発行・村上商工会議所)
 私が中学・高校時代を過ごした島根県石見地方の中国太郎といわれる江川中流域にも「シャギリ」はあった。
 花飾りをつけた鳥追い笠を頭に、派手な女性の長襦袢に原色の帯数本を背中から垂らした身拵え。腹には大型の締め太鼓。それを叩く撥(ばち)は両端に紅白の房。笛に導かれバトントワラーのごとき撥捌きで太鼓を叩きながら、縦一列になって行進する。それを「シャギリ」といった。演ずるのは男子だけだったが、それも中学生限定だっただろうか。私も参加したことがあり、今でも五つほどあった撥捌きのパターンを覚えている。
 当地村上では山車(だし)のことをシャギリというので、先に紹介した矢部キヨさんの文なのだが、もしかしたら「シャギリ山車」の山車が時の経過の中で省略されたものなのかも知れない。なにしろ村上大祭の誕生は380年も昔なのだ。
『村上の歳時記』は「むらかみ商工会議所ニュース」に元小学校教師矢部キヨさんが25年間にわたって書き続けた文章を一冊の本にしたものだ。連載中から静かなファンがいたというが、私もそのひとりだった。
 昭和6年生まれの矢部キヨさんの、季節ごとの豊富で確かな思い出の世界へ、彼女の簡潔な文章が時を遡行させて誘(いざな)ってくれる。この地域の生活文化史であり、珠玉のエッセイともなっている。
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 3人の娘たちはこの「オシャギリ」に乗せてもらって太鼓を叩いたこともあったが、その経験のない新潟市に住む孫娘の祭りの楽しみは縁日だ。小遣いを持たせながら<金魚すくい>はだめだよと釘をさしておいた。毎年のように持ち返る金魚は数日後には死滅してしまからだ。ところが縁日から返ってきた孫娘はしっかり金魚の入ったビニール袋をぶら下げていた。<金魚すくい>ではなく、これは<金魚釣り>だからいいじゃん、というわけである。しかも見知らぬおじさんからもらったという金魚までも・・・。
<金魚すくい>の金魚に比べたらかなり大きくて元気もいい釣られた金魚たち。やむなく水桶に収容したが、翌日には一匹が水桶から飛び出して死んでいた。この死なれるのがいやなのだ。「お盆に来るからね」という言葉の真意は、ちゃんと生かしておいてね、というメッセージなのである。
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 故郷の祭りが近づくと、どこにいても男たちの熱い血が騒ぐ。東京でテレビ局に勤めるSoumaさんもそのひとりだろう。休暇が取れた今年は、帰郷して町内の屋台を引き回した。その後は同じ町内の夭夭亭で、幼馴染のYamagamiさんと<ハンバギヌギ>だ。何かをやり終わった後のご苦労会をこの地方では<ハンバギヌギ>と言ったりする。
 この夜、Soumaさんがオーダーしたのは、あのマイクが披露していたテキーラボンバー。作ったのは久しぶりに顔を見せてくれたMikaさん。飲んだのはYamagamiさんだった。しかも2杯。だが、酒豪のYamagamiさんは平然として帰宅した。
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 翌々日の<ハンバギヌギ>は町内の幼馴染が少し増えた。何杯かのジョッキを飲み干した後、またしてもテキーラボンバーに挑戦したYamagamiさんだったが、この夜は睡魔に屈服した。
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 日本一周の歩き旅をしている戸高寛さんが、祭りの夜に店の2階に1泊していった。駅前で出会ったというSoumaさんの紹介だ。この夏は1月ほど民宿「ちどり」(桑川)で路銀稼ぎのアルバイトが決まった。インド体験もあるという23歳。いずれ、ゆっくりと話を聞かせてもらおうと思っている。
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「岩合光昭の世界ネコ歩き」(NHK)は好きな番組のひとつだ。見ていて感じるのは、登場するいわゆる<町ネコ・地域ネコ>の多さだ。私の周辺では、まったくそうしたネコを見かけない。画像のネコもどこかの飼い猫だ。
 Mikaさんが生後3ヶ月のネコを飼い始めたという。子ネコは実に可愛い。私もネコを飼ったことがあるし、ノラ猫の死を見取ったこともある。「世界ネコ歩き」は岩合さんのネコたちに注ぐまなざしがいい。岩合さんの好もしい人柄が伝わってくる。
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 代表をつとめる「むらかみ9条の会」は村上市議会に対して、先に集団的自衛権の閣議決定に反対する意見書を政府に提出するように請願をした。請願に対しては総務文教委員会で賛否が分かれ、継続審議ということになったが、7月1日、政府は集団的自衛権を容認する閣議決定を強行した。
 安倍首相は<積極的平和主義>というフレーズのもとに集団的自衛権容認を主張してきた。私は<積極的平和主義>とは憲法9条の精神を世界に広げることだと考えてきた。折りしも、新潟県弁護士会主催の講演パンフレットが届いた。講演のタイトルは「憲法を活かして平和を創る~ほんとうの積極的平和主義とは~」とある。わが意を得たりのテーマである。講師は朝日新聞編集委員の伊藤千尋さんだ。
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 連続テレビ小説『花子とアン』にはまっている。ヒロインのはな以上に、蓮子こと実在した白蓮(柳原白蓮)に興味が尽きない。数奇な運命に翻弄されながら、やがて自立した女性として生きた白蓮。ウィキペディアの「柳原白蓮」「白蓮事件」によっての知識しか持たないが、はなの人生を大きく超えてドラマティックだ。
 この秋、同窓会で九州へ行く。会場は福岡県宗像市だ。足を伸ばすことは無理だろうが、飯塚市の遠賀川河畔に白蓮の歌碑があるという。「思いきや月の流転のかげぞかしわがこし方に何をなげかん」。刻まれてある歌である。(画像は白蓮華ではなくシンビジウム) 
 ごきげんよう

by yoyotei | 2014-07-11 18:04  

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