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朝顔やおもひを遂げしごとしぼむ

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 庭の巣箱から巣立ったスズメたち(だと思う)。朝夕2回、米やご飯粒を施している。愛しい命たちだ。

「富貴も淫(みだ)す能はず/貧賎も移(か)うる能はず/威武(いぶ)も屈(くじ)く能わざる、此れをこれ大丈夫と謂う」
 この中国戦国時代孟子の言葉を生きる指針として精進してきたという人がいる。先月28日におこなわれた村上市長選挙に立候補した1人Sさんだ。
 現代語訳では「いかなる富貴(社会的地位や金銭・収入)で誘惑してもその心をとろかし乱すことはできず、いかなる貧賎(貧しく低い身分)で責め苦しめても、その操(自分の主義・主張)を変えさすことはできず、いかなる威光や武力で圧迫しても、その志を枉(ま)げさすことはできない。こういう人こそ、まことの大丈夫、すなわち<立派な男子>という」となるだろう。 
「村上市民ネットワーク」は市長選に先立ち、市長候補者4人の出席してもらい「あすの村上を語る」シンポジウムを計画した。しかし、Sさんからは出席を拒まれた。何度目かの電話でようやく連絡がとれ、40分ものやりとりの果てだった。文書参加ということで折り合いをつけた数日後、地元の新聞社経由で届けられた手紙に書かれてあったのが冒頭の孟子だ。シンポジウムで、私は彼の文書(手紙)を代読した。
 Sさんは前回の市長選にも立候補し、現職市長との一騎打ちで9000票ほどを獲得した。今回の獲得票はその10分の1にも届かず、4人の候補の中では最下位だった。組織も持たず、ポスター掲示板には決められたスペースの4分の1もない手書きのような小さいポスターが貼られてあった。それも、数ヶ所の掲示板でしかなく、選挙戦はハンドマイクで訴えをしながら、徒歩での行脚だった。現実の政治や行政にどのように関っていくのかという疑問はあったが、Sさんの手紙の、読みづらい手書きの文字に悪戦苦闘しながら、私は大いに感じるものがあった。。
新しい市長には、元議会事務局長で前市長の後継指名を受けた高橋邦芳氏が就任した。
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 このところ立て続けに3度も来店してくれたソエカワさん夫妻。電装会社のオーナーの夫と妻スミコさんだ。
「60過ぎたら女房を大事にしろよって、仲間に言われてね」
 仲のいい夫婦は見ていて気持ちがいい。
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 ソエカワ夫妻に、私の店を紹介してくれたのがこの兄だったった。
 先日、買い物客で賑わう市内の朝市で「安保法制」に抗議するアピールアクションをしていた。そこにヒョイと現れたソエカワ兄は、ハンドマイクを握る私の脇でアピールボードを掲げてくれた。後述する市議会の総務文教委員会での「請願趣旨説明」にも傍聴にきてくれた。衒(てら)いも気負いもない飄々(ひょうひょう)とした存在感。宮沢賢治を思い起こす。ホメラレモセズクニモサレズ。
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 今年の村上大祭は珍しく好天に恵まれた。提灯をゆらしながら練り歩く屋台にシャッター切ったら右下にマリさん母娘が写っていた。マリさんとは翌々日、店で飲んだ。美人の母に美人の娘だ。
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 祭の夜は、店に居ながらにして夜店帰りの客のご相伴にあずかる。<タイラーメン><トルコ風ナントカ?><ナントカ風バーグ><関西風ホルモン>。もちろん<蒸気パン(ポッポ焼き)>も。
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 隣家の故本間桂先生の教え子たちが、長男の帰宅に合わせて集った。村上高校時代、その前の村松高校時代。
 早々に看板を消して、私も合流した。モノクロ写真は半世紀近くの昔。しかし、思い返せば<ついこの間>だ。
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 右上から時計回りにミホ、アイコ、スズカ、テルミさん。顔見知りの人も・・・。4人のつながりは聞きもらした。
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 私の住まいは羽黒町。今年の祭は、回り当番で10年ぶりに<傘鉾(かさぼこ)>の組み立て・引き回しにたずさわった。本祭の前日、締太鼓を打ち鳴らしながら、組み立てた傘鉾を引き回して祭屋台を先導した。
 興が乗った私は本祭でも10年ぶりに屋台を引いた。太い綱を持って歩くだけだが、なにやら楽しい。沿道に懐かしいを顔を見る。声を掛け合う。呼び寄せられて酒を振舞われる。
 この夜は祭の<ハンバギヌギ>。ご苦労会だ。近くの料理屋の帰りに、祭の主立(おもだち)が立ち寄ってくれた。羽黒町は羽黒神社を擁する古い町内だが、宅地造成で拡大した新市街を併せ持つ。私もそのエリアに居住しているが、この人たちの多くも、そうした新しい住民だ。
 さらに興が乗った私は、来年は町内の法被(はっぴ)を誂えることにした。来年の祭が楽しみになってきた。
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 アカ裕子さん(左)はコートジボアール人の夫を持つ。アカは夫の苗字(ファミリーネーム)だろう。裕子さんは8月6日に計画している<平和カフェ>で歌ってくれるかもしれない。3人は同じ福祉施設で働く仲間。親分肌・姉御肌のリュウコさん(中)は彼女たちの心強い存在だろう。
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 コヤナギさん(左)は洋ナシのルレクチェ栽培など農園を営んでいる。(当ブログ「バトンは渡されていく」(2013/12/16)参照)「百姓=百まで女と生きる」(コヤナギ語録より)
 農業指導員として<明日の農業>を熱く語っていた県職員のコバヤシさん(下)は、現在は農業大学校で農業者の育成に携わっている。なかなかの貫禄がついてきた。妻とは夭夭亭で出会った。<出会いのその後>を見る思いがする。 
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 24日、村上市議会の総務文教委員会で、「安保法案」制定の中止を求める請願の意見陳述をおこなった。10人ほどが傍聴するなかで採決が行われ、請願は賛成2人反対6人で否決された。結果もさりながら、審議の様子を傍聴していて空しかった。
 石川裕一郎聖学院大学教授は(専門は憲法、フランス法)「ここ数年の日本は<反知性主義>が広がっている」といい、「歴史上、論理や知を軽んじて栄えた国はない」と主張している。昨年7月閣議決定をしたこの「安保法案」の「安保法案特別委」での審議をふまえた論評だ。私の感じた<空しさ>はこの論評につながる。
 いささか長いが趣旨説明の全文を掲げておく。

安全保障関連法」制定の中止を求める請願の趣旨説明      平成27年7月24日
                            むらかみ9条の会代表 高木 伸二         
 先に6月25日付で提出いたしました「安全保障関連法」制定の中止を求める請願書につきまして、本日これに係わる意見を申し述べる機会をいただきましたことを感謝申し上げます。
 「むらかみ9条の会」は日本国憲法第9条、すなわち「(前略)国権の発動たる戦争と武力による威嚇、または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とした、いわゆる<戦争放棄の平和憲法を守ること>を共通課題とし、憲法の平和主義を標榜して参集した市民団体です。よろしくお願いいたします。
 以下、提出いたしました【請願趣旨】に沿いながら意見を述べさせていただきます。
                            
 今国会で「集団的自衛権行使」を認める一連の法案の審議・成立がはかられようとしています。
 政府は 「安全保障関連法案」を昨年7月に閣議決定、先般7月15日衆院特別委員会では「同法案」を強行採決、翌16日衆議院本会議では、これも国民多数の反対、慎重審議を求める声を押し切って強行採決いたしました。
 いま多くの国民が、日本国憲法が禁じている海外での武力行使に大きく踏み出すことになるのではないかと、不安と危惧を広げています。
 16日付「朝日新聞」<天声人語>は、憲法学の権威といわれる樋口陽一さんが、有識者でつくる「国民安保法制懇」の記者会見で語った言葉を取り上げました。
 「憲法9条の下では集団的自衛権は使えないとするこれまでの解釈は何十年にもわたる国会論戦の中で確立されてきた。その積み重ねを一気に吹き飛ばしたのが昨年の閣議決定であり、安保関連法案だ。また、解釈変更の根拠として米軍駐留の合憲性が問われた砂川判決が挙げられたが、牽強付会にもなっていない議論で、学生の答案であれば落第だ。これらは国会審議への侮辱であり、最高裁判例への侮辱だ」と、樋口陽一さんは批判したというものです。<天声人語>は、「昨日の採決強行で、さらに侮辱が重ねられた。それは民主主義そのものへの侮辱である。国民の理解がすすんでいないことを認めながらの暴挙は国民に対する侮辱でもある」と断じ、「怒りの声がいよいよ高まり、広がるのは必定だろう」と述べています。
「集団的自衛権行使」が憲法違反だとする見解は、合憲性を問われた衆議院憲法審査会でも参考人の憲法学者3氏全員が違憲だとし、国内の圧倒的多数の憲法学者や研究者が同様の認識を示しています。
 日弁連(日本弁護士連合会)の村越進会長は「何時間、審議しても憲法違反が合憲になるはずがない。取り下げるか廃案にしなければならないものだ」と主張しています。
 このように明白な憲法違反である法案を数の力で成立させようとする暴挙は、立憲主義の否定であり断じて許されるものではありません。このことを、まず主張するものです。

 政府が国会提出した「安全保障関連法案」は、これまで自衛隊が「行ってはならない」とされていた「戦闘地域」にも派兵を認めるものとなっています。また、自衛隊の武器使用についても、「自己防衛」(正当防衛)に限られていたものから大きく拡大されます。これらのことから、自衛隊の任務の危険性は高まって、戦死者を出すことも懸念されます。
 政府は<後方支援>という戦場の常識にはない概念で安全を強調しますが、国際的には「兵站(ロジスティクス)」は格好の攻撃対象だといわれています。自衛隊員のリスクが増大することは明白です。
 さらに、政府が「存立危機事態」と判断すれば集団的自衛権が発動され、「重要影響事態」と判断すれば、「日本周辺」に限らず、世界中のどこでも米国の戦争支援に踏みだす内容となっています。
 そのうえ、「国際平和支援法」という名で、自衛隊海外派兵の恒久法がつくられようとしています。
 このように「安全保障関連法案」で、いつでもどこでも日本の自衛隊が海外で戦争に参加する国になり、「殺し、殺される」国に変わろうとしています。 
 日本は先の大戦においてアジアでは2000万人、日本でも300万人を超える犠牲者を出しました。今も連綿と語り続けられる戦争の悲劇。どのような理由があろうとも、あの忌まわしい戦争の悲劇は二度と繰り返してはならないと、痛苦の教訓の上に平和憲法をつくりました。いかなる紛争も武力を持って解決しないという憲法の原則を貫き、戦闘地域には自衛隊を派遣せず、70年間1人の命も奪うことも奪われることもない歴史を築いてきました。
 この「法案」は戦後70年間、平和憲法の下で、我が国が貫いてきた海外で武力行使をしないという原則を大きく転換するものです。
 
 請願書の提出から時間が経過したために、「法案」は特別委での審議と採決、衆院での強行採決で可決され参議院に送られましたが、その後の世論調査(朝日新聞社18,19日実施/7月20日掲載)では憲法解釈を変え、集団的自衛権を使えるようにする法律整備を進めていることには「適切ではない」が74%で、「適切だ」の10%を大幅に上回っています。また、この「法案」の今国会成立は慎重姿勢が多数で「今国会で成立させる必要はない」69%と「必要だ」の20%を大きく上回っています。
 さらに、各界・各層で、また国会前をはじめ、全国各地で廃案を求める集会やアピールアクションが、日を追って広がっています。
また、「法案」に反対を表明したり、「廃案」「慎重審議」などを求める意見書を可決した地方議会は11日までに265議会に達しています。隣の長野県は全国で最も多く49議会となっています。
 新潟県議会は今月10日の本会議で、国に「安全保障関連法(安保法制)」の慎重審議を求める意見書を、自民・公明両党のなどの賛成多数で可決しました。
 県内30市町村議会のうち21議会が廃案や慎重な審議を求める意見書や請願を議論し、うち五泉市、加茂市、湯沢町、関川村の4議会が廃案・制定中止を求める意見書を可決。柏崎、魚沼、胎内の3市議会は徹底・慎重審議を求める意見書を可決しました。(新潟日報7月16日付)
 
 法案が衆院を通過した翌7月17日、「新潟日報」は「地域の声届けなければ」と題して特任論説編集員の署名記事を掲載しました。そこでは「多くの国民が懸念と不安を抱き、憲法との矛盾を覆い隠すこともできない法案が、衆院を平然と通過した。戦後70年、私たちが先の大戦に対する痛切な反省の上に築き上げてきた平和国家としての誇り、諸国からの信頼が崩れ落ちる音がきこえそうだ」とペンを起こし、「県議会をはじめ、多くの県内議会が国会に慎重な審議を求めている」とし「今後の参院審議が<数の力>だけで推し進められることがあってはならない。現実の暮らしに根ざす地域の声が届かなければ、この国は道を誤りかねない。私たちは歴史の岐路に立っている」と結んでいます。心して受け止めなければならない主張だと思います。 
 以上、意見に加えて、世論や県内自治体の動向について申し添えました。
 
 週明けからは参院での審議が始まります。今、まさに私たちは歴史の重大な岐路に立っています。委員各氏におかれましては、日本の将来、私たちの将来、子供たちの未来に禍根を残すことのない賢明な判断をお願いいたします。「審議未了」や「継続審査」などと、判断を先送りすることなく、村上市議会の名誉と誇りにかけ、毅然とした判断をお願いいたします。
 村上市内においても多くの戦死者を出したことを忘れてはなりません。子供たちの未来は平和でなければなりません。
 以上のことから、下記事項を請願いたします。
【請願事項】
 1 「安全保障関連法」制定中止の請願を提出してください。
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 ベテラン俳優・宝田明さんの「わが青春の戦争と平和」と題する講演会は10月20日と決まった。会場は客席数600人の村上市総合文化会館。
 8月6日は市内のカフェを借りて「平和カフェ」を開店する。遺族会の会長らから話を聞きながら語り合おうというものだ。

 夏は戦争を回顧する季節。暑い夏だが、今年は特にアツイ。
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 朝顔やおもひを遂げしごとしぼむ        日野草城

 「おもひを遂げし」がエロチックだと、文芸評論家山本健吉はいう。(『現代俳句』山本健吉)おなじ日野草城に「物の種にぎればいのちひしめける」という句があり、この句に山本健吉は「一握の種子の感触に、張り切った物の命を感じ取ったのである。生命力にあふれているというより、生命力への郷愁といった或るさびしさを、この句から受け取ることができる」と鑑賞している。
 下の青葉は<綿>である。昨年、近所に住む知人が入院し、無人になった家の庭先から摘み取った種を蒔いたものだ。白い綿に包まれた種は愛しい物だった。
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by yoyotei | 2015-07-29 11:26  

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