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酒飲みが『酒呑みに献げる本』を読みながら酒を飲むある夜・・・

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 冬の夜。外は吹雪。店にはだれもいない。
 タルの底に少し残った生ビール。これはもう客には出せない。グラスに注いでトマトジュースを加える。レッドアイだ。グビッ、うまい!よし飲むか・・・。こんな夜、客は来ないだろう。

 すりおろしたニンニクとパセリのみじん切りを練りこんだバターを、スライスしたバゲットに塗ってオーブンレンジへ。二日前にスモークしたチキン。ちょとレンジで温める。おおっ香りが立ってきた。
焼きたてのガーリックトースト。スライスし軽くレモン汁をかけたスモークチキン。皿に移してテーブルへ・・・・。
腰をおろしてレッドアイをグビッ。うめっ!
 本を開く。『酒呑みに献げる本』。今日ブックオフで買ってきた。105円。
 本は3冊買った。『明日があるなら』(シドニー・シェルダン)、これも105円。シドニー・シェルダンは時間過ごしにはうってつけだ。飲みながら読むのにもいい。『良寛』(吉野秀雄著)これは950円だったが、まあまあ。
 ガーリックトーストにスモークチキンをのせてかぶりつく。なかなか。これなら客に出せる。レッドアイをグーッ。
 本に目を移す。いきなり<小説>酒の追憶・太宰治とある。活字を追う。
 あっ、今日スーパーで見つけた地場産の椎茸があった。肉厚な腹の部分にマヨネーズをしぼりだし、アンチョビを刻んでのせる。これはストーブの上に置いた。レッドアイのお代わりをつくる。客は来ない。
 本に向かう。酒を飲みながら酒の(酒飲みの)本を読む。椎茸からいい匂いがしてきた。皿に移す。熱っつつ!トングがいるな。食ってみる。ううん?やはりバターと醤油がいいかなあ。客は来ない。グラスが空だ。お代わりをつくる。
「ルルルッ、ルルルッ」
 店の電話が鳴った。
「土曜日?ああいいですよ。6人ですね。何時ごろから?はい、はい。ありがとうございます。お待ちしています」
 よっしゃ!予約が入った。タルの残り、全部飲んじゃえ。マイクに買ってもらったビーフジャーキーでもかじるか。
 シドニー・シェルダンを開く。いきなり引き込まれる。彼の本は充実の読後感はないが、まあ読ませる。いづれゆっくり。
『良寛』を開く。五合庵のカラー写真。良寛像に書。書はわからないが、いい書のように思われる。これは飲みながら読む本ではなかろう。『酒呑みに・・・』に戻る。

「酒は憂いを払う玉箒(たまぼうき)で、憂いをほじくり出す爪楊枝ではない」
               (エッセイ『酒直言/酒徒とのつき合い』田辺聖子)。『酒呑みに・・・』から

 一人飲みの夜が更けていく。
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by yoyotei | 2013-02-07 11:16  

And here's to you, Mrs. Robinson

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 ジム・ロビンソン(左)は年に数回はシアトル(米)から日本へ、そして村上に来るという。マイクも所属している会社の重要な書類にサインをするためだとOsamu(右)さんが話してくれた。
「それにしてもジム、あんたの手は大きく厚くて、それになんてゴツゴツして硬いんだ」
 握手をして驚いた。
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 先日、ちょっと早い誕生祝での酒場飲みに来店したTakeshi&Anri夫妻。そのAnriさんが職場の仲間と来てくれた。Takeshiさんも後から加わった。左から時計回りにAyumi、Miki、Taira、そしてTakeshi&Anri、Yukiko、Kenichirouの面々。(敬称略)ほとんどが初来店だがKenichirouさんは以前にも何度か・・・。Tairaさん、なかなか洋酒に詳しいようだ。それに飲みっぷりもいい。「ボウモア(BOWMORE)」を仕入れておくね。飲まなかった女子のみなさん、「お運び」までしてもらってありがとう。この次はおいしいスープを用意しよう。
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 男子は左からYoshiaki、Takeshi、Takaoさん。女子2人は迎えに来た妻たちだが、横に座っている人の妻とは限らない。
 Takeshiさんは夭夭亭で恐怖の「階段落ち」を演じた(?)過去を持つ。
「ヤス、上がって来い、上がって来いヤス!おまえは志(こころざし)半ばにして死んでいく勤皇の志士だ。上がって来るんだヤス・・・」
「銀ちゃん・・・。かっこいい」(映画『鎌田行進曲』から)
 もちろんそんなやり取りはなかった。
 2階で飲んでいたTakeshiさんは下へ降りようとして階段を踏み外し、落下したのだった。
 落下した先にあったのはストーブだった。激しい衝撃でストーブは変形するほどだったが、Takeshiさんは肋骨にひびが入ったという。そのことを14年ぶりの来店で聞いた。 
「階段落ち」の翌日、Takeshiさんはストーブの弁償だといってお金を持ってきた。変形しただけで火も付いたので「いいですよ」と言うのに、Takeshiさんはお金を置いていった。
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 そのストーブは今でも店を暖めてくれている。少し傾いているのはそのときの後遺症だ。
 奇しくもこの日、店に新しいファンヒーターを置いた。それはTakeshiさんが座っている左下にある。 
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 週末土曜日、「早く来たくて」と、ほとんど開店直後に飛び込んで来たTakuyaさん(左)。静岡出身だが、大学が秋田だったこともあり就職先も秋田。現在は当地に出向している。
 彼の酒の強さは、酒飲みには慣れている私をもいささか驚嘆させる。この夜、アルコール度数の高いタンカレーをベースにしたマテニーを何倍飲んだろう。それなのに、ほとんど乱れない。
 いつも周囲から「イケメン」の声を浴びるIshiguriさん(右)は、妻の第2子懐妊の報せを持って飲みに来た。
 中央の女子はいつものMikaさん(右)と、ちょっと久しぶりのNanaさん(左)。勤務先はちがうが二人とも歯科衛生士。みんなはたちまちフェイスブックに友人登録。飲み屋のカウンターは友人づくりにはベストの場所だ。
 Nanaさん宅は夭夭亭と同じ町内で10メートルと離れていない。昨年末、大きな新築家屋が完成し、Nanaさんはその新居を大いに気に入っている。建築士の夫に2人の子ども、夫の両親と2世帯6人で暮らしている。
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 Takuyaさん、ちょっと寂寥感が漂っているが・・・。
 もっとも、年上の女子2人では気圧されても仕方ないか。
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 2月最初の週末。Jojiが来た。いつものHideさん、Murata兄が来た。カールとカールママが妹夫妻を連れてきた。元市長のJunさんが来た。マイクは風邪だという。この夜は姿を見せなかった。流行のインフルエンザだろうか。
 上の写真の右端にあるのが14年前に、Takeshiさんが「階段落ち」をした大(?)階段だ。

 春先のような陽気の中での2月のスタート。だが、私は携帯を水浸しにして落ち込んだ。修理に出したもののデーター消失の可能性は高い。代用機を貸与されたが受信しかできない。こちらからは、ほとんど誰とも連絡が取れない状態になっている。
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 正月に帰省した娘から、ボロボロになっていた財布のことを「ボロクソ」に言われた。眺めていた雑誌『Ligtning(ライトニング)』の特集記事に触発されて皮の財布を新調した。
 若い頃は財布を持たず裸でポケットに突っ込むのをかっこいいとしていたが(財布に入れるほどのお金はなかった)、自分の店を持ってからは、それでも安物の財布を使うことにしていたのだった。
 かばん屋で顔見知りの店長から「こちらの水牛皮がいいですよ」と言われ、私には少し高価かなと思ったが購入した。ユーズド加工を施したような交差編みの感触がとてもいい。

「しのぶ」さんという人から「エイジング」についてコメントをもらった。「エイジング」「経年変化」という語句はその雑誌『Lightning』で頻繁に目に付いた。「ヤレた」という表現もあって次のように使われている。
「それにしても土色に<ヤレた>ジェフの黒いブーツには森の匂いまでしっかり染み付いている感じで、彼のロガー人生そのものを物語っているようだ」
「やれた」は「破(や)れた」で本来は破れた、壊れたの意味だと考えられる。だが「ヤレた」は、使い込まれて汚れ、くたびれてはいるが廃棄するほどではなく、むしろ使用者の生き様までもが滲み出ているグッズといった響きがある。
「ジム、あんた近頃、なかなかヤレてきたね。いい味が出てきたよ」
 こんな風に人にも使えるかもしれない。

 タイトルは映画『卒業』の挿入歌で、サイモンとガーファンクルの『ミセス・ロビンソン』の冒頭の部分の歌詞。「なあ、ひとこと言いたいんだけど、いいかなロビンソンさん」といったところか。
 その後は次のように続く。
Jesus loves you more than you will know, wo wo wo
God bless you please, Mrs. Robinson
Heaven holds a place for those who pray, hey hey hey
Hey hey hey
 <神はあんたを見捨ててはいないぜ、祝福しているさ/天は祈るものを救うって言うじゃないか>
 
 ロビンソンからの連想だけで、この歌は冒頭に載せたシアトルのジム・ロビンソンとは何の関係もない。
 ところで、映画『卒業』を観た人なら、ミセス・ロビンソンがどんな役柄として登場したかわかるだろう。<神はあんたを見捨ててはいないぜ>との歌詞の意味するところも。
さらにはこんな風に続く歌詞の意味も・・・。(訳文はネットから引用した)
Hide it in a hiding place where no one ever goes
Put it in your pantry with your cupcakes
It's a little secret, just the Robinsons' affair
Most of all you've got to hide it from the kids

 前々回のブログタイトルに使った萩原朔太郎の詩「春の感情」の「春」は、必ずしも季節の春だけを意味しない。気になっていたので書いておく。それはこの詩の全体、また収められている詩集「青猫」の他の詩を読めば感じ取れるようだ。「春の感情」と、そこに発酵する「生の感情」の象徴的抒情、とは専門家の鑑賞だ。

 今日は立春。季節の春はもうすぐだ。
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by yoyotei | 2013-02-04 11:00