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インド②

障害の体を見世物にして日々の糧を稼ぐ人。
哀れみをたたえながら、けっして卑屈には見えない物貰いの女性たち。
廃棄物を漁りながら澄んだ瞳の子供たち。

一方で、高価な装身具で身を飾り立て、近寄りがたい気品をただよわせる女たち。あきらかにアーリア系(白人系)の血筋と思われる大柄な体格と、悠揚せまらぬ貫禄をそなえたインド紳士たち。

そうしたことは、この日本にもあります。しかし、日本では見えにくい。
あからまに露呈されるインドの現実は、さまざまな問題意識を突きつけてきます。
国のあり方、社会のあり方、人間らしさとは、誇りとは、幸福とは。

「インドは自分を映す鏡」だと、僕は思っています。インドは土足で自分の内奥に入り込んできます。
無遠慮なその客人を、いかにもてなすか。
インドをどのように消化すればいいのか。しかも、インドは容易に内奥から立ち去ってはくれません。
繰り返すようですが、人間の、社会の普遍的な実相。それがインドでは見えるのです。
それこそがインドの魅力なのかなと、僕は思うのです。

ずいぶん前ですが、瀬戸内寂聴さんがインドを訪れた後に書かれていました。
手元にないので不正確かもしれませんが、こういうことだったと記憶しています。

「もうしわけないが、インドには乞食も騙す人もいてほしい。インドで見るもの体験すること、それらが自らを深い思考に誘うから」

寂聴さん、意味を取り違えていたらすみません。インドは人を哲学的にするというのが僕の実感です。
いくらでもインドの切り口はあります。歴史、宗教、文化、政治、社会、風俗、芸術、芸能。
それにしても、「スラムドッグ・ミリオネア」。いい映画だった。まだ観てない人がいたら是非!

by yoyotei | 2009-11-14 02:53 | インド  

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