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喝!

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 年明け早々に書棚が完成し、故本間桂先生が遺された書籍のうち、文庫本と新書版を収蔵した。わずかだが私の物も含めておよそ1800冊になった。圧倒的に多いのは、<禅>をメインに宗教関連のもの、ついで中国の漢詩集、日本の古典文学。蓄積された教養の遺産、心の彷徨の足跡ともいえようか。書棚を眺めていると、私の中に不思議な平安が訪れる。
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 書棚の完成を待って、ニイガタ・プレミアムマガジン「SUITO(新潟粋人)」の取材を受けた。「社長たちがすすめる、いい店うまい店/新潟グルメ倶楽部」という連載企画もの。夭夭亭を薦めてくれたのは、鮭の加工販売「きっ川」の吉川真嗣さん。「町屋の人形様巡り」「町屋の屏風まつり」など、数々の地域起しイベントを手がけてきた<観光カリスマ>だ。故本間桂先生の教え子でもあり、結婚にあたっては桂・笑子夫妻に媒酌人をつとめてもらったという。
 そんな話をしながら写真撮影と取材がすすんだ。左が編集長の金子美貴子さん、右がカメラマンの内藤雅子さんだ。撮影用に作ったカレーを、二人とも「おいしい、おいしい」といって食べてくれた。インド旅行の経験があるという内藤さんとは共通の話題でも盛り上がり、楽しい取材だった。「SUITO」は年4回の季刊。<春号>に掲載予定だ。どんな店として登場するか。査定の結果待ちに似た、ちょっとドキドキの気分だ。
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 長い長い常連の水谷さん(左から2人目)と、同じ病院で働く仲間たちだ。男たち全員が介護福祉士だ。
 厚生労働省は年明けの社会保障制度審議会で改定案を提示した。そのなかで、特別養護老人ホーム(特養)の介護報酬引き下げなど、「施設から住宅」へ高齢者を押し流す方向を打ち出した。人手不足の介護職員。その解消のために処遇改善加算を上乗せするとしているが、「特養」などの基本報酬を引き下げると、介護労働者の処遇後退につながるのでは、との懸念もある。現場を知っているわけではないが、大変な仕事らしく、介護職員の離職率も低くない。誇りが持てて、生きがいにつながるように処遇が改善されなくてはならない。伏目がちな彼らの表情にそんなことを思った。お世話になるも遠い先ではない。
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 昨年は武道館でおこなわれた全国大会に選手を送り出した<村上空手道チーム>。左の二人がその選手の両親だ。その右の、建設会社に勤める内山さん。彼がふいにつぶやいた。
「結婚していなかったら自分はどうなっていたか・・・」
 どういう流れでそんな話になったのか。結婚によって、生きることの意味に辿りつけたということか。そばには奥さんがいた。<のろけ>ではない、しみじみとしたモノローグ。グッときた。
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 夫のその言葉をどんな風に受け止めただろうか。左がその奥さんだ。パートナー冥利だろう。いい夫婦だ。
 その左は空手の指導者飯沼さん。<結婚への道、いまだ遠し>だが、今年はいい風が吹いて、いい出会いを期待しよう。右も空手指導に情熱を傾けている<しんちゃん>。このところ指導に手応えを感じてきたようだ。東京五輪で空手道が競技として採用されるかどうかも気になるところだろう。
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 5年前、<山小屋ライフを楽しみたいが、高い山は駄目>という私の望みをかなえてくれたのが、小林さん(左)とカールママ(右)、写真には写っていないが、いっしょにテーブルを囲んでいる相馬さんだった。山登りを趣味にしている彼らが選んだのが、標高399メートルの大峰山だった。肉や酒を担ぎ上げて山頂の広場で酒盛りをし、持参したギターで歌い、語り笑った。宵闇が迫ると、宿泊する山小屋に場所を移し、円居(まどい)は深夜遅くまで続いた。その日は、奇しくも私の誕生日だった。
 この夜、また大峰山への一泊登山計画が持ち上がった。彼らにとって標高399メートルは山というよりも<丘>にすぎない。だが、あの楽しさは忘れがたく、ギター伴奏も欠かせないということのようだ。
「ギターを持ってあげるから」と、カールママから強く参加をうながされて意を決した。あの日、登りの途中で<ヒーヒー>言っている私を見かねてギターを担いでくれたのだ。本当はリュックの中の酒が重かったのだが・・・。
 決行は4月下旬の予定である。
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 新年になって3週間が過ぎた。建築設計家としてバンクーバー(カナダ)に住む本間さんから、新年の挨拶状が届いた。仕事や家庭生活、趣味の太鼓演奏を通じたコミュニティ活動などについて、昨年の総括と新しい年の計画が箇条書きにしたためてあった。
 本間さんは、隣家の本間桂・笑子夫妻の息子の一人で、<むらかみ九条の会>の唯一の海外在住会員だ。昨年の総括の中に、<加藤周一の「日本文化における時間と空間」に強く感銘する>とあった。加藤周一は、日本国憲法九条の理念を護ることを目的に、大江健三郎、井上ひさし、梅原猛、小田実ら、作家や文化人9人と「九条の会」を立ち上げた。<知の巨人>と称された加藤周一(2008年没)に、本間さんは会ったことがあり、またバンクーバーにも「九条の会」があると聞いた。今、「九条の会」は全国におよそ7500団体(2011年時点)。 今年は活動がひとつの正念場を迎える。
 
 少しでも<禅>の理解につながるかと、新しい書棚から、本間先生の一冊を取り出す。「『正法眼蔵』読解(森本和夫・著 筑摩書房)」。いきなり<只管打座(しかんたざ)>という言葉にぶつかった。ただひたすらに座禅すること、すなわちそれこそが<理解>だとある。<読む>ことなどは座禅行の一部分でしかないのだと・・・。
 何事につけても、なかなか<行>が伴わない私。「ウ~ムッ」なのである。「喝!」

 年明け前後から、体調を崩していた<ナメロー>が快方に向かっている。
 一方で、1昨日は妻が手術。1昨年のは大腸手術痕の腹壁痕跡ヘルニアだという。よく聞く<ヘルニア>という言葉。担当医の説明では<臓器が本来あるべき位置から逸脱した状態>だという。本来あるべき位置からの逸脱なら、臓器だけでなく人間の存在や行動にしても<ヘルニア化>がありそうだ。<本来あるべき位置>が重要だが・・・。
 妻は1週間ほどの入院予定だ。

「イスラム国」による日本人2人の殺害警告。命を盾にする卑劣な要求。それにしても、やりきれない。
 身近なできごと。遠くのできごと。見過ごせないできごと。傍観するしかできないこと。忘れなくてはならないこと。忘れてはならないこと。出来(しゅつらい・しゅったい)し、行き交うさまざまなできごと。そのなかで私たちは生きている。
 



 

by yoyotei | 2015-01-24 09:00  

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